本日は、膀胱炎を繰り返す70代女性のご相談。血尿の経験もあり心配とのことで、詳しく診察させていただきました。
膀胱鏡では腫瘍などはなく問題なし。しかし腟内は点状出血多数、粘膜の高度な萎縮と膿を認め、腟pHは8.0。排尿障害や尿道周囲膿瘍もなく、GSM(閉経関連尿路性器症候群)による膀胱炎と診断しました。
pHと乳酸菌の関係
腟内の潤いが低下すると乳酸菌の働きが低下し、乳酸が作られず、pHが上昇します。病原菌を排除できなくなります。これが膀胱炎を繰り返す大きな原因です。
そう説明していたところ、ご主人が「ペーハーって今でも言うんですね」と知った風な反応。素敵な理解力かと思いきや――
「私ね、乳酸菌を育てて漬物作ってるんですよ!減塩でね、美味しいんですよ〜」と自分の世界へ。
いやいや、奥様の“乳酸菌不足”の話なんですけど…(笑)。
昭和夫婦の温度差
局所ホルモン療法、レーザー治療、乳酸菌の注入などの治療法を説明しましたが、ご主人は「膀胱炎でしょ。死ぬわけじゃないし、抗生物質をローテーションさせれば耐性菌もできにくいんじゃない?」と軽い調子。
奥様は「先生に夫を説得してほしい」と一緒に来られたはずなのに、私の力不足もあり残念ながら届かず…。
ただ、漬物の乳酸菌にはこだわりまくるのに、妻の乳酸菌には無関心というのは、まさに一部の昭和夫婦に見られる光景かもしれません。
医療リテラシーの差
一方で、先日診た別の患者さんでは、ご主人が病院を探して予約し、スムーズに受診・治療につながったケースもありました。夫婦で一緒に病気に向き合う姿に、希望を感じたことを思い出します。
今回の出来事を通じて、まだまだGSMや女性の膀胱炎の認知が足りていないと痛感しました。
最後に
乳酸菌は漬物だけじゃありません。腟の乳酸菌を守ることは、繰り返す膀胱炎を防ぐ大切な一歩です。ぜひ、ご夫婦で一緒に理解を深めていただきたいと思います。

