― 日帰り内視鏡手術が切り拓く、これからの泌尿器科医療 ―
2025年より、日本橋骨盤底診療所では TULA(Transurethral Laser Ablation:経尿道的レーザー焼灼術) を導入し、日帰り内視鏡手術として実際の診療に取り入れています。
これまでに
- 膀胱がん:2例
- ハンナ型間質性膀胱炎:5例
- 前立腺出血:1例
に対して、いずれも入院を必要としない日帰り手術として施行しました。
■ 日帰りで安全に行うための工夫
TULA は低侵襲である一方、大きな腫瘍や広範囲の病変では手術時間が長くなり、日帰りには不向きな場合もあります。
そのため、症例選択が非常に重要です。
当院では
- 仙骨硬膜外麻酔
- 静脈麻酔
を併用することで、術中の痛みをほとんど感じることなく手術を行えています。
術後は
- 歩行が問題なくできる
- 意識が清明である
- 自力排尿がしっかりできている
これらを確認したうえで、膀胱留置カテーテルを入れずに帰宅していただいています。
■ 術後経過について
レーザー焼灼後は、治療部位にかさぶた(凝固壊死組織)が形成されるため、
術後2週間程度は
- 肉眼的血尿がときどき出る
ことがあります。
ただし、これまでの症例では
- 貧血をきたすような出血
- 再度の止血処置が必要になる事態
は経験していません。
患者さんには事前にしっかり説明を行うことで、術後の不安も最小限に抑えられていると感じています。
■ ハンナ型間質性膀胱炎に対するTULAの手応え
特に印象的なのは、ハンナ型間質性膀胱炎の症例です。
TULA では
- 簡易的な膀胱拡張を行いながら
- ハンナ病変を的確に焼灼
することが可能です。
術後のフォローアップでは
- 疼痛の明らかな軽減
- 日常生活の質(QOL)の改善
を実感される方が多く、治療として非常に有用であるという印象を持っています。
■ 医療技術の進化と「低侵襲手術」の価値
TULA を実際に導入し診療を行う中で、
医療技術の進化が、確実に患者さんの負担を減らしていることを強く実感します。
低侵襲手術の最大のメリットは、
👉 外来・日帰りで治療が完結できること
に尽きると思います。
もちろん、すべての手術が日帰りで可能になるわけではありません。
入院治療が必要な手術も、今後も確実に存在します。
しかし、
- 手術の低侵襲化
- 入院期間の短縮
- 外来治療へのシフト
が進めば、
👉 医療費の削減
👉 患者さんの生活への影響の軽減
につながり、結果として
持続可能な医療保険制度に近づくのではないか
と感じています。
■ おわりに
TULA はまだ新しい治療ですが、
「適切な症例に、適切な方法で」行うことで、
患者さんにとって非常に価値の高い選択肢になり得ます。
今後も症例を重ねながら、
- どのような患者さんに最も適しているのか
- どのような工夫で安全性と満足度を高められるのか
を丁寧に検証し、発信していきたいと思います。


