腹圧性尿失禁の原因といえば、一般的には「グラグラ尿道」や「スカスカ尿道」が知られています。
グラグラ尿道=尿道過可動
スカスカ尿道=内尿道括約筋不全(ISD)
チグハグ底筋=骨盤底筋協調不全

- 正常な尿道(上図)
- 尿道括約筋がしっかり締まっている
- 尿道粘膜もしっかり密着して、腹圧がかかっても尿漏れしにくい

2. グラグラ尿道(上図)
- 尿道括約筋の支えが弱い状態
- 尿道そのものがグラつき、圧がかかると開いてしまう
- 咳・くしゃみ・運動などで尿漏れが起きやすい

3.スカスカ尿道(上図)
- 尿道括約筋はあるが、尿道粘膜が萎縮して隙間がある状態
- 粘膜が薄くなり密着できないため、締めても尿が漏れやすい
- 更年期以降の女性や粘膜萎縮(GSM)が背景にあることが多い
しかし実は、もうひとつ見逃せない要因があります。それが 「チグハグ底筋」 です。
チグハグ底筋とは?
本来、骨盤底筋はお腹の圧(腹圧)がかかったときにギュッと締まって尿漏れを防いでくれる筋肉です。
ところが、「締めよう」と思っても逆に押し出すような動きをしてしまう 方がいらっしゃいます。
これはちょうど、
- 行進するときに右手と右足を一緒に出してしまう
- ボールを投げるときに肩と腕が同時に動いてぎこちなくなる
といった「チグハグな運動」の骨盤底筋版です。
この動きを一生懸命練習してしまうと、かえって症状が悪化してしまいます。
※ 「骨盤底筋協調不全」と言う診断名は今まで提唱されず、病態を知って頂くために命名しました。病態がわかれば解決の手段が見つかる!

診断の方法
「チグハグ底筋かどうか」は、実際に評価することで確認できます。
- 内診での肛門挙筋の動き(オックスフォードスケールで判定)https://npfc.jp/2025/09/12/incontinencefemale-urology/
- 経会陰エコーで骨盤底筋の動きを可視化
このように、「逆の動き」をしているかを感覚的・視覚的に共有できるのが大きなポイントです。
治療は「フォーム改造」
治療のゴールはシンプルで、間違った動きを正しいフォームに修正することです。
つまり「フォーム改造」です。
骨盤底筋を正しく収縮できるようになると、
- 骨盤底にアーチを描いて腹圧から尿失禁を防ぐ
- 骨盤底の組織を守る
という本来の役割を取り戻すことができます。
どのくらいで治るの?
多くの患者さんから「どのくらいでできるようになりますか?」という質問をいただきます。
イメージして頂くと^ ^
右利きの方が、左手でお箸をスムーズに使えるようになるにはどれくらいかかるでしょうか?
それとほぼ同じくらいです。
ちょっと習っただけでできるようになる方は、そもそもチグハグ底筋の状態になっていないケースが多いものです。
だからこそ、焦らず・気長に・諦めず取り組むことが大切です。
バイオリンやピアノを始める。ゴルフやテニスを始めるそんな感じです。難しいですよね^ ^
実例では骨盤底リハビリテーションを初めて、3ヶ月間で全く別人?と思われるくらい改善される方もいらっしゃり、思わず「凄い!」と声をあげてしまう事も^ ^
その他腹圧性尿失禁の治療はhttps://npfc.jp/2025/09/14/incotinecepelvic-organ-prolapse/
まとめ
- 腹圧性尿失禁の新しい原因として「チグハグ底筋」がある
- 正しい診断で「逆の動き」を確認することが大切
- 治療はフォームを改造し、正しい骨盤底筋の使い方を身につけること
- 改善には「左手でお箸を使えるようになる」くらいの時間と練習が必要
尿漏れを防ぐための骨盤底筋トレーニングは、「正しいフォーム」でこそ効果を発揮します。
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