長年続く違和感と排尿障害
数年来の陰部の違和感で、泌尿器科と婦人科を受診されていた方のお話です。
泌尿器科では残尿量が常に150ml以上あり、エブランチルやベサコリンが処方されていました。
婦人科では時々エストリール膣錠が処方されていましたが、下腹部や陰部の違和感、残尿感は消えませんでした。
診察でわかったこと
診察では、腟pH8.0と高値でGSM(閉経関連尿路性器症候群)が疑われました。
さらに重要だったのは、内閉鎖筋を含む骨盤底筋のトリガーポイントが強陽性であった点です。少し知識のあるクリニックではGSMでレーザー治療となったかも^ ^
治療の組み合わせ
- 局所ホルモン療法
- 腟レーザー治療
- 骨盤底リハビリテーション
これらを組み合わせた結果、4ヶ月後には残尿量10ml以下にまで改善。
お薬(エブランチルやベサコリン)も不要となり、現在はセルフケアと腟健康指数チェックで良好な状態を維持されています。
改善の理由は?
一見すると「腟pHが4.5に改善 → GSMが改善したから」と思われますが、GSMは基本的に粘膜の萎縮によるもので、直接排尿障害を引き起こすことは少ないと考えられます。
むしろ、腟炎や粘膜の変化が骨盤底筋(特に内閉鎖筋)を刺激し、肛門挙筋の収縮や弛緩を妨げていた可能性があります。
ここに関わるのが骨盤底筋の筋筋膜性疼痛症候群(MPPS)です。いわゆる「チツコリ」
骨盤底筋の筋筋膜性疼痛症候群とは?
整形外科領域では広く知られている「筋筋膜性疼痛症候群」。
トリガーポイントから放散痛や関連痛を生じ、感覚障害や運動障害を引き起こす疾患です。
骨盤内の筋肉に異常が起これば、「膀胱や子宮、直腸に問題がある」と思ってしまいがちですが、実際には骨盤底筋そのものが原因であるケースも少なくありません。骨盤底筋がゆるめれない状況に陥っていたから排尿障害になっていたと考えます。
快適な生活に戻るために
この方のケースは、
- GSMによる腟粘膜の改善
- 骨盤底筋リハビリによるトリガーポイントの改善
この2つが合わさって、排尿障害の改善につながったと考えられます。
今後はセルフケアによる腟pHや腟健康指数の管理、そして時々のリハビリによる筋肉チェックが快適な生活を維持するカギです。
まとめ
- 残尿感や排尿障害があるからといって、必ずしも「膀胱の病気」とは限らない
- 骨盤底筋の筋筋膜性疼痛症候群が原因になることもある
- ホルモン療法・レーザー・リハビリを組み合わせることで改善が期待できる
「膀胱の不調」と思っていた症状が、実は「骨盤底筋の問題」かもしれません。
排尿障害で悩む方にとって、筋肉と粘膜の両方を見ていくことが重要です。
