タイで「膀胱腟瘻」を語る
― Meet the Expert in Minimally Invasive Urologic Surgery ―
2月27日、タイで開催された
「Meet the Expert in Minimally Invasive Urologic Surgery」
に参加させていただきました。
今回、私にいただいたテーマは
「膀胱腟瘻(Vesicovaginal fistula)」 でした。
タイでは、膀胱腟瘻に対する腹腔鏡手術での治療経験はまだ多くないとのことで、
腹腔鏡手術の適応 、手術の具体的な方法 手術のポイント
などについてお話しさせていただきました。
膀胱腟瘻は「診断」が第一歩
膀胱腟瘻の治療でまず重要なのは
診断をつけることです。
膀胱と腟の間に瘻孔ができることで、
尿が腟から漏れてしまう状態になります。
しかし実際の臨床では
なかなか診断がつかない 原因が分からない尿漏れとして扱われることも少なくありません。
診断が遅れると
患者さんの日常生活への影響は非常に大きくなります。
一方で、診断がつけば
基本的には瘻孔を閉鎖する手術で治療可能な疾患です。
ただし問題は、
この修復術を行える泌尿器科医が非常に少ないことです。
日本とタイで共通する課題
今回のディスカッションを通して感じたのは、
この問題は
日本もタイも大きく変わらない
ということでした。
ただ、日本では
合併症 再建手術 瘻孔修復
といったテーマは、
学会でもあまり取り上げられる機会が多くありません。
そのため
学ぶ機会自体が限られてしまうという側面があります。
その意味では、
このようなテーマを掲げてディスカッションするタイの姿勢は、
とても意義深いものだと感じました。
手術方法の選択
膀胱腟瘻の手術は、状況によって方法を選びます。
比較的シンプルなものは
経腟的修復術
が良い選択になります。
一方で、
瘻孔が複数ある 尿管再建を伴う 腟が狭い 癒着が強い
といった複雑な症例では
腹腔鏡手術
が大きな力を発揮します。
さらに腹腔鏡手術にはもう一つ重要なメリットがあります。
それは
手術を映像として残せることです。
これは
教育的な価値が非常に高い
と感じています。
百聞は一見にしかず
プレゼンテーション後には
とても分かりやすかった でも難しそうですね
という感想もいただきました。
確かに簡単な手術ではありません。
しかし、
百聞は一見にしかず
実際に手術映像を見ることで、
理解は一気に深まります。
会場の先生方の熱意には、
本当に感激しました。
日本からの講演も素晴らしい内容
今回の会では、日本からも素晴らしい講演がありました。
1.亀田メディカルセンターからは
鈴木康一郎部長
による
前立腺肥大症のレクチャー
2.若手高橋英嗣先生から前立腺肥大症とPSA低下について
そして
3.藤田医科大学 泌尿器科教授
高原健先生
からは
ダビンチ ヒューゴ ヒノトリ
といったロボット手術に関する講演。
いずれも非常に内容の濃い、
素晴らしい講演でした。
タイの温かいおもてなし
講演後の懇親会では、
タイの郷土料理とお酒を楽しみながら、
とても楽しい時間を過ごすことができました。
医学の議論だけでなく、
こうした交流の時間もまた、
国際交流の大切な一部だと感じます。
とても充実した、
印象に残る一日となりました。


