「日帰り手術で対応できる非浸潤性膀胱がん治療 ― TULAとは?」


(低侵襲・日帰り手術・膀胱がん治療ご紹介)


はじめに

非浸潤性膀胱がん(NMIBC:非浸潤性膀胱がん)は、膀胱壁の筋層には浸潤していないがんです。従来はTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)などが標準手術でしたが、最近では、より低侵襲で日帰りや短期滞在が可能なレーザー治療「TULA(経尿道的レーザー蒸散/切除)」が注目されています。ここでは、TULAの適応・手法・メリット・注意点を、最新のガイドライン・文献をもとに整理します。


1. TULAとは何か?

1-1 定義・概要

TULAは「Transurethral Laser Ablation」の略称で、尿道から膀胱鏡(軟性鏡または硬性鏡)を挿入し、レーザーファイバーを用いて膀胱がん病変を蒸散・凝固・切除する処置です。
 従来のTURBTに比べ、全身麻酔を不要とするローカル麻酔や短時間処置・日帰り設定が可能という点で、特に高齢者・合併症を有する方にとって魅力的な選択肢となっています。

膀胱内部に腫瘍が見える3Dアニメーション、尿道から膀胱鏡が挿入されている様子を示すイラスト。

1-2 適応・対象病変

ガイドラインや実務マニュアルでは、TULAの「理想的な対象」として以下が挙げられています。

  • 非浸潤性膀胱がん(Ta, T1)で比較的小さく、明瞭に摘出可能な病変(例:直径 3 cm 以下)
  • 再発例の低~中リスク病変
  • 全身状態があまり良くなく、全身麻酔・入院治療がリスクとなる方
    一方、「TULAでは慎重とされる」ケースとしては、筋層浸潤(T2以上)が疑われる病変、多数・大きな腫瘍、出血リスクの高い患者・膀胱頸部/膀胱三角部など治療が困難な部位などが挙げられています。

2. TULAの特徴・メリット

2-1 低侵襲・日帰り

TULAはローカル麻酔(膀胱鏡下麻酔)で可能です。術後早期に帰宅できる「日帰り」または短期滞在の適用実績があります。例えば、ある施設報告では「10〜20分程度の手技で、当日帰宅可能」 とされています。
このため、入院リスク・全身麻酔リスク・回復期間が抑えられる点で、「高齢者・合併症あり」の患者にも選択肢が増えています。

2-2 出血・合併症リスクの低下

レーザーによる蒸散・凝固処理のため、出血制御が優れており、また「閉鎖神経反射による膀胱壁穿孔リスク」が低いという報告もあります。
患者の負担・術後カテーテル・日帰り手術において強みです。

2-3 スピーディな治療・診断のワンストップ化可能

TULAでは、診断(膀胱鏡・生検)と治療(レーザー蒸散)を同一セッションで行えることが多く、「腫瘍が確認されたらその場で処理」できる施設報告もあります。
これにより、待機期間の短縮・患者負荷の低下・リスク低減につながります。


3. TULAの手技・流れ

3-1 事前準備・麻酔

  • 通常、手技前に尿検査・感染の有無・抗凝固薬の確認を行います。
  • 当日の食事制限はありません。「日帰り手術」という観点では負担が軽めです。
  • 麻酔:局所麻酔ジェル+膀胱鏡挿入。場合により軽度鎮静。

3-2 手技

  • 膀胱鏡を尿道から挿入、病変を視認・マッピング。
  • レーザーファイバーを通し、病変部を蒸散・凝固。多くは直径数 mm〜数 cmの病変。
  • 出血が少なければ、カテーテルを挿入せず帰宅できます。

3-3 術後管理・帰宅

  • 術後数時間観察し、出血・感染・尿閉などの異常がなければ帰宅。
  • 帰宅後は多めの水分摂取し、飲酒は控えます。
膀胱の内部でレーザーを使用して腫瘍を蒸散している様子。

4. エビデンス・成績

  • 文献では、「TULAは非浸潤性膀胱がんの治療として安全かつ費用対効果が高い選択肢である」との報告があります。
  • システマティックレビューでも、「日帰りレーザー蒸散が有望である」とされています。
  • 実例として、英国の施設報告では87件中1名が術後出血で入院となったのみ、その他良好に推移したという報告もあります。

5. 注意点・限界

  • TULAが適さないケースもあり、筋層浸潤(T2以上)が疑われる高リスク例では従来のTURBT・膀胱全摘などが選択されるべきです。
  • 長期成績(進展・再発率)については、TURBTとの直接比較エビデンスが限られており、慎重なフォローが必要とされています。
  • 機器・技術・施設体制(レーザー装置・安全管理・術者経験)も治療成績に影響するとされており、導入施設選び・術前説明が重要です。

https://doctor110.com/gan-2/boukougan.html


6. 当院におけるTULAのご案内

  • 対象:非浸潤性膀胱がんで、腎機能・心肺合併症等の理由により全身麻酔リスクがある方や、「できるだけ早く・低侵襲で治療を受けたい」方
  • 手術日:日帰り(症例・状態による)
  • 麻酔:局所麻酔+膀胱鏡下対応
  • 術後:当日帰宅(状態により相談)/2〜3日間の経過観察を推奨
  • フォローアップ:定期的な膀胱鏡検査・再発リスク評価を行います
  • 注意:全ての症例がTULA適用ではありません。術前検査・他の治療との比較説明を行います。

まとめ

TULAは、非浸潤性膀胱がんに対して「日帰り/低侵襲で可能なレーザー治療」の選択肢として、近年注目を集めています。高齢者や合併症を有する方、全身麻酔や入院をできるだけ避けたい方にとって特に魅力的な手法です。ただし、適応には慎重な評価が必要であり、「治療完了=再発なし」というわけではないため、術前・術後のフォローアップが重要です。

ご興味・ご相談があれば、当院の泌尿器科専門チームにご相談ください。お一人おひとりの状態を丁寧に見て、最適な治療方法をご提案いたします。


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