膀胱腟瘻の新たな選択肢|側臍索フラップによる低侵襲修復の可能性

膀胱腟瘻(ぼうこうちつろう)の治療において、再発を防ぐことは非常に重要な課題です。

従来、膀胱腟瘻根治術では、
・膀胱側の閉鎖
・腟側の閉鎖
をそれぞれ丁寧に行い、その間に脂肪組織を介在させることで、再発率を極めて低く抑える工夫がなされてきました。

実際、この「組織間への脂肪充填」は非常に有効であり、適切に行われた場合、再発率はほぼゼロに近いとされています。

いまのところ、亀田総合病院泌尿器科での再発率は0%です。

しかし一方で、
・大網が既に切除されている
・直腸周囲の脂肪が乏しい
といった症例では、どの組織を充填材として用いるかが問題となることがありました。

側臍索フラップという新たな選択肢

このような背景の中、最近注目しているのが「側臍索フラップ」を用いた修復です。

亀田総合病院オリジナルの方法です。

側臍索(lateral umbilical ligament)は膀胱のすぐ近くに存在する組織であり、この周囲の脂肪組織をフラップとして利用することで、

・新たな剥離範囲を最小限にできる
・膀胱周囲のみで手術が完結する
・侵襲を抑えられる

といったメリットが期待されます。

泌尿器科医にとっても、手術ストレスの軽減につながる可能性がある非常に合理的なアプローチです。

学会発表と臨床での手応え

先日、亀田総合病院泌尿器科の中薗先生が、この側臍索フラップを用いた膀胱腟瘻修復術について、日本泌尿器科学会で発表されました。

会場で拝聴された他施設の先生方からの評価は高く、今後の有力な選択肢の一つになる可能性を感じました。

実際の症例

先月、4cmを超える大きな瘻孔を有する患者さんに対して腹腔鏡にて修復術を行いました。

本日、日本橋骨盤底診療所に再診され、
「完全に良くなりました」
と笑顔でお話しくださいました。

この一言が、外科医にとって何よりのご褒美です。

まとめ

膀胱腟瘻の治療は、単なる閉鎖ではなく
「いかに再発させないか」
が本質です。

側臍索フラップは、
・低侵襲
・合理的
・再発予防に有利

という点で、第一選択となり得る可能性を秘めた術式かもしれません。


膀胱腟瘻 / VVF / 尿路再建 / 骨盤底 / 側臍索フラップ / 泌尿器科手術 / 低侵襲手術 / 合併症治療

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