頭頸部の医療から学ぶ ― 骨盤痛治療への新たなヒント
今回のFotonaシンポジウムでは、泌尿器科・婦人科の枠を超えて、頭頸部領域の医療から多くの学びを得ることができました。
その中で特に興味深かったのが、三叉神経痛に対する微小血管減圧術(MVD:Microvascular Decompression)です。
三叉神経は顔面や歯の感覚を司る重要な神経ですが、脳から出てくる部分で動脈が神経に接触・圧迫することで激しい痛みを生じることがあります。
その治療として行われるのが、神経に接触している動脈を剥離し、神経に当たらない位置へ固定する手術です。
私はこの話を聞きながら、以前ご紹介したアルコック管症候群(陰部神経絞扼)を思い浮かべていました。
アルコック管は、陰部神経と陰部動静脈が通過するトンネルのような構造です。ここで神経が圧迫されることで、会陰部痛や陰部痛、座位で悪化する痛みなどが生じることがあります。
これまで私は、
「まずはアルコック管を開放して圧を下げること」
が重要だと考えていました。
しかし今回、三叉神経痛の考え方に触れ、
単純に圧を下げるだけでなく、神経と血管との接触そのものを解除することも重要なのではないか
と改めて感じました。
骨盤内でも神経と血管は複雑に走行しています。
もしかすると一部の慢性骨盤痛や陰部神経痛では、神経への機械的圧迫だけでなく、血管との接触や拍動刺激が症状に関与している可能性があるのかもしれません。
さらに興味深かったのは、
三叉神経痛の手術後も痛みが残存した患者さんに対して、FotonaのNd.YAGレーザー治療が奏効した症例
が紹介されていたことです。
「手術をしたのに治らなかった」
そこで治療が終わりではなく、
神経の過敏化や慢性疼痛のメカニズムに対して、温熱療法という新たなアプローチがあることを学びました。
これは骨盤痛診療にも通じる考え方です。
痛みは単純な構造異常だけでは説明できないことが少なくありません。
手術、リハビリテーション、神経治療、温熱療法などを組み合わせることで、これまで改善しなかった症状に光が見えることもあります。
専門領域の垣根を越えて学ぶことの大切さを改めて実感したシンポジウムでした。
頭頸部で培われた知識や技術が、将来の骨盤痛治療の発展につながるかもしれません。
まだまだ学ぶことはたくさんありますが、新しい視点を患者さんの治療に還元していきたいと思います。
日本橋骨盤底診療所




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