最近、ハンナ型間質性膀胱炎に対する日帰りレーザー焼灼術(TULA)の治療成績がとても良く、今までの治療の違いを実感しています。
従来の電気凝固と比べると、レーザーは熱が深部まで及びにくいため、術後の痛みの改善が早く、膀胱へのダメージも少ないと感じています。
また、間質性膀胱炎は再発を繰り返すことがあるため、何度も治療が必要になる患者さんもいらっしゃいます。そのような点でも、筋層への熱損傷を最小限に抑えられることは、将来的な膀胱筋層の瘢痕化を防ぐ意味でも大きなメリットがあるのではないかと考えています。
「痛みが残っています」
先日、60代の女性に3か所のハンナ潰瘍に対してTULAを行いました。
術後、蓄尿時の痛みはきれいになくなりました。
ところが患者さんは、
「まだずっと痛いんです。」
とおっしゃいました。
一見すると、
「レーザー治療が効かなかった。」
そう思われても不思議ではありません。
術前より、両側の内閉鎖筋に非常に強い圧痛があり、典型的な筋筋膜性骨盤痛症候群(MPPS)を合併していたため、手術前から、
「膀胱の炎症による痛みと、筋肉の痛みは別の病気です。」
「レーザーで膀胱は治療できますが、筋肉はリハビリが必要です。」
と何度も説明し、病気の説明書や治療法もお渡ししていました。
しかし、どうしても
「手術をすれば全部治る」
というお気持ちが強く、リハビリになかなか取り組めませんでした。
「騙されたと思ってやってみてください」
痛みが続き、不安になった旦那さんも一緒に受診されました。
私はもう一度、
「騙されたと思って、一度だけでもリハビリを受けてみてください。」
とお願いしました。
その後、渋々だったかわかりませんが、骨盤底リハビリテーションを受け、ご自宅でもセルフケアを続けていただきました。
そして先日の診察。
患者さんは笑顔で、
「先生、全く痛くありません!」
「リリカも、トラマールも、セレコックスも全部飲んでいません。」
と話してくださいました。
横にいらした旦那さんも笑顔で、
「本当に良かったです。」
と安心された様子でした。
私も心から嬉しい瞬間でした。
膀胱だけを治療しても、痛みは残ることがあります
慢性的な膀胱の炎症は、周囲の筋肉や筋膜、結合組織にも大きな影響を与えます。
痛みを避けるために筋肉が緊張し、
筋肉が痛みを出し、
さらに痛みによって筋肉が硬くなる。
この悪循環が続くことで、膀胱の炎症が改善しても痛みだけが残ってしまうことがあります。
逆に、筋肉の治療だけでは、膀胱そのものの炎症は改善しません。
つまり、
膀胱には膀胱の治療。
筋肉には筋肉の治療。
この両方がそろって初めて、本当の意味で痛みから解放される患者さんが多いのです。
MPPSは決して珍しい病気ではありません
筋筋膜性骨盤痛症候群(MPPS)は、
- ハンナ型間質性膀胱炎
- 閉経関連尿路性器症候群(GSM)
- 慢性尿路感染症
- 子宮内膜症
など、さまざまな病気と合併することが少なくありません。
それにもかかわらず、「膀胱の病気」と「筋肉の病気」が別々に考えられてしまうことが多く、十分に理解されていないのが現状です。
痛みの原因は一つとは限りません。
だからこそ、一人ひとりの痛みを丁寧に見極め、膀胱だけでなく骨盤底全体を診ることが大切です。
「痛みが残る=治療が失敗した」
ではありません。
原因を一つずつ整理し、それぞれに適切な治療を行うことで、多くの患者さんは笑顔を取り戻すことができます。
これからも、MPPSという概念がもっと身近なものとなり、「原因が分からない痛み」で悩む患者さんが一人でも減ることを願っています。
日本橋骨盤底診療所




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