亀田総合病院で一緒に働いていた後輩から、久しぶりにLINEが届きました。
今では総合病院の泌尿器科部長として活躍している先生です。
「おつです!慢性骨盤痛症候群って、結局先生的には何が一番効果ありそうでしょう? 筋膜リリース?」
そんな質問でした。
一緒に働いていた頃には、こんな話をした記憶はあまりありません。
身近で働いていても、その時に興味がなければ、なかなか目に入ってこないものです。
彼は亀田総合病院を離れたあと、海外留学を経験し、大学病院でもバリバリと仕事をしてきました。
そして今、地方の大きな総合病院で多くの患者さんを診る立場になっています。
環境が変わり、職場が変わり、立場が変わる。
すると、今まで見えていなかったものが見えてくることがあります。
今回の「骨盤痛」も、きっとその一つなのだと思います。
泌尿器科医が行きつかない「骨盤痛」
骨盤痛に悩む患者さんは、決して少なくありません。
男性であれば、
「慢性前立腺炎ですね」
「慢性骨盤痛症候群でしょう」
と診断されることがあります。
女性では、
「陰部痛ですね」
「性交痛ですね」
などなど
もちろん、これらは医学的に存在する診断名です。
ただ、そこで診断が終わってしまうことがあります。
「では、その痛みはどこから生じているのか?」
ここまで踏み込んで診察される機会は、まだまだ多くありません。
骨盤底筋が過緊張になっていないか、圧痛やトリガーポイントがないか。
普段の座り方や立ち方、歩き方に問題はないか。
呼吸はどうか。
無意識に骨盤底へ力を入れ続けていないか。
痛みを避ける動作が、さらに別の痛みを作っていないか。
「慢性骨盤痛症候群」という名前をつけるだけではなく、何が痛みを生じさせ、何が痛みを長引かせているのかを探していくことが大切です。
原因を十分に掘り下げないままつけられた診断を「ゴミ箱診断」と呼びます。
いろいろ調べてもよく分からない。
だから最後に「慢性前立腺炎」「慢性骨盤痛症候群」という箱に入れてしまう。
しかし、その箱の中をもう一度丁寧に見てみると、治療できる原因が見つかることがあります。
一番大切なのは「リハビリ」
LINEでは、
「筋膜リリース?」
と聞かれました。
私の答えは、
「一番はリハビリかな」
でした。
筋膜リリースだけをすればよい、ということではありません。
痛みのある筋肉をほぐすことも大切です。
でも、それ以上に大切なのは、なぜそこに負担がかかったのかを考えること。
痛みを作らない姿勢。
正しい身体の使い方。
骨盤底を緩めること。
呼吸。
必要に応じて筋肉をほぐし、伸ばし、そして正しく使えるようにする。
肩こりでも、毎週マッサージを受けるだけでは、原因となっている姿勢や身体の使い方が変わらなければ繰り返します。
骨盤底も同じです。
慢性骨盤痛の治療では「何かをしてもらう治療」だけではなく、自分の身体の使い方を変えていくリハビリがとても重要だと考えています。
「調べてみます!」が嬉しかった
すぐに細かい答えを全部伝えたわけではありません。
すると最後に、
「リハの内容は文献検索してみます!」
と返ってきました。
この一言が、とても嬉しかったです。
きっと自分で調べて、実際の患者さんを診て、触って、考えていけば、いろいろなことに気づいてくれると思います。
そして、その病院にも、
「どこへ行っても原因が分からなかった」
「薬を飲んでも良くならなかった」
そんな骨盤痛の患者さんがたくさんいるはずです。
一人の医師が興味を持つだけで、救われる患者さんが増えるのは間違いありません。
しかも今回は、昔一緒に働いていた後輩です。
また一人、骨盤痛の問題を一緒に解決してくれる仲間が増えました。
こういうLINEは、元気が出ます^ ^
医療は、自分一人でできることには限界があります。
でも、気づく人が一人増え、その人がまた誰かに伝えていく。
そうやって少しずつ、今まで見過ごされてきた骨盤痛の診療が変わっていけばいいなと思います。
日本橋骨盤底診療所





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