20代の方が受診されました。
パートナーから「腟が緩い」と言われたことがきっかけでした。
以前から、お風呂から上がったあとに腟からお湯が漏れる「お湯漏れ」があったそうです。しかし、ご本人は「これは普通のことだと思っていました」と。
まず美容医療を受診し、腟HIFUを受けました。
「腟全体と骨盤底筋を引き締める」と説明されたそうです。
その後、腟ヒアルロン酸注入も受けました。
しかし、ご本人としては「締まる感じがしない」。
そして次に勧められたのが、磁気刺激による骨盤底筋治療でした。
「ここまでいろいろやったけれど、本当にこれでいいのだろうか?」
疑問を感じ、当院を受診されました。
「腟を締める」は全部同じ治療ではありません
まずHIFU。
HIFUは集束した超音波によって組織に熱を加え、熱凝固や組織の収縮を起こす治療です。
イメージとしては、生のお肉に熱を加えると縮んで硬くなるようなものです。
しかし、これは「筋肉を鍛える」こととは違います。
骨盤底筋は、収縮と弛緩を繰り返し、しかも自分の意思で適切にコントロールできることが重要です。
HIFUで組織に熱を加えることと、骨盤底筋を正しく収縮させられるようになることは別の話なのです。
次にヒアルロン酸。
ヒアルロン酸を注入すれば、その分だけ組織にボリュームが出て、腟内腔が狭くなることは考えられます。
しかし、これも骨盤底筋を鍛えているわけではありません。
そして今回勧められた磁気刺激。
これは磁気によって骨盤底筋を収縮させるので、「筋肉を刺激する」という考え方自体は間違っていません。
では、この女性に必要なのは磁気刺激だったのでしょうか?
診察して分かったのは「筋力」以前の問題でした
骨盤底筋を実際に診察してみました。
「今、締めてみてください」
そして、
「はい、今度は緩めてください」
すると、
「えっ? 今、締まっているんですか?」
「これが緩んでいる状態なんですか?」
ご本人が、骨盤底筋の収縮と弛緩の感覚をほとんど捉えられていなかったのです。
つまり、この方にまず必要なのは、
もっと強い力で筋肉を収縮させることではありません。
「締める」という指示に対して正しく収縮する。
そして「緩める」という指示に対して、しっかり弛緩する。
まず、この感覚を身体に覚えてもらうことです。
骨盤底筋は、ただ強ければいい筋肉ではありません。
必要なときに締まり、必要なときには緩む。
そのコントロールがとても大切です。
だからこそ、治療を始める前に一度きちんと骨盤底筋を評価する意味があります。
「腟が緩い」と感じたら、すぐに「締める施術」が必要なのでしょうか。
HIFU、ヒアルロン酸、磁気刺激。
それぞれ作用する場所も、目的も違います。
美容医療の中にも、きちんと診察し、適切な治療を提供されている先生はたくさんいらっしゃると思います。
一方で、
「緩いと言われた」
↓
「締めなければ」
↓
「まだ足りない」
↓
「では次の施術を」
と、女性自身の不安が次々と施術を受ける入口になってしまう構造には、少し怖さを感じます。
20代です。
まず必要だったのは、「もっと締める施術」ではなく、
自分の骨盤底筋を知ること。
そこから治療を始めても、決して遅くありません。
それとパートナー!
この方の腟は全く緩んでいませんでした。中には上手く締め付ける女性もいるかも知れませんが、そんな女性ばかりではありません。
女性を変える前に、どんな条件でも満足する自分を磨けと言ってやりたい^ ^
日本橋骨盤底診療所




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