手術を希望していたけれど、手術をしなくてよくなった方
50代女性の方、久しぶりの受診でした。
半年前、「尿もれを治したい」と日帰り尿道スリング手術を希望されて受診されました。
ところが診察してみると、骨盤底筋がほとんど使えていませんでした。
さらに問題だったのが、骨盤底筋の協調不全です。
骨盤底筋の協調不全とは、簡単に言えば、
「締めようとしているのに、逆に押し出してしまう」
ような状態です。
例えば、おしっこを止めるように骨盤底筋を締めてもらおうとしても、逆にいきむような動きになってしまいます。
「まずは、この動きをなんとかしてから手術を考えましょう」
ということになり、骨盤底リハビリテーションを開始しました。
それから半年。
とても真面目にリハビリに取り組んでいただきました。
初診時は、骨盤底筋の収縮を評価するオックスフォードスケールで0。
全く収縮できず、むしろ押し出すような動きでした。
今回診察すると、オックスフォードスケールは1。
「まだ1?」と思われるかもしれません。
オックスフォードスケールは0〜5で評価し、できれば3以上を目指したいところです。
でも、この方には大きな変化がありました。
尿もれが全くなくなっていたのです。
「もう手術は希望しません!」
ということになりました。
手術を希望して受診された方が、手術をせずに卒業。
「また困ったらいらしてください」
とお話しして、この日が卒業日になりました。
骨盤底筋は、単に「筋力が強い・弱い」だけではありません。
正しいタイミングで、正しい方向に動かせること。
これも、とても大切です。
今回は筋力そのものはまだ十分とは言えませんが、「押し出す」動きから「締める」動きへ変わったことで、尿もれが劇的に改善しました。
そして、尿もれがなくなったからといって、トレーニングも終了!というわけではありません。
筋肉は使わなければ、また衰えていきます。
今、尿もれに困っていない方も、ときどき骨盤底筋を意識して動かしてみてください。
手術をすることだけが治療ではありません。
手術をしなくてよくなることも、私たちにとってうれしい治療のゴールです。
日本橋骨盤底診療所
監修 安倍 弘和



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