射精時痛・オーガズム時の痛みの原因は?
〜骨盤底筋との関係と治療について〜
男性の「射精時の痛み」、女性の「オーガズム時の痛み」は、非常につらい症状です。
しかし、検査をしても「異常なし」と言われ、誰にも相談できず悩まれている方も少なくありません。
実は、この症状の背景に「骨盤底筋」の異常が隠れていることがあります。
オーガズムとは何か?
男性も女性も、オーガズム時には骨盤底筋群が律動的(リズミカル)に収縮します。
性的刺激は脳と脊髄、骨盤神経を介して伝わり、
- 骨盤底筋
- 尿道周囲筋
- 肛門括約筋
などが反射的かつ周期的に収縮します。
男性では射精に伴う精液の排出、女性では快感や骨盤内の収縮感として感じられます。
つまり、
「脳 → 神経 → 骨盤底筋 → 脳」
という神経反射のループによってオーガズムが形成されています。
なぜ痛みが起きるのか?
その時に痛みが出るのではなく、痛みの原因が隠れている可能性
- 過緊張
- 筋膜性疼痛
- トリガーポイント
- 慢性的な炎症
- 神経過敏
などが存在する場合です。
オーガズム時には骨盤底筋が強く律動的に収縮するため、障害部位が刺激され、痛みとして感じられることがあります。
男性の場合
- 射精時痛
- 前立腺痛
- 会陰部痛
- 精液が出る瞬間の鋭い痛み
- 射精後の鈍痛
として現れることがあります。
慢性前立腺炎と診断されている方の中にも、実際には骨盤底筋由来の痛み(MPPS:筋筋膜性骨盤疼痛症候群)が関与しているケースがあります。
女性の場合
- オーガズム時の骨盤痛
- 腟の奥の痛み
- 下腹部痛
- 性交後痛
- 快感より痛みが強い
などとして現れます。
特に、
- GSM(閉経関連尿路性器症候群)
- 骨盤底筋過緊張
- 出産後
- 慢性骨盤痛
を伴う方では起こりやすい印象があります。
「気のせい」ではない
性に関する症状は非常にデリケートです。
そのため、
- 「精神的なもの」
- 「考えすぎ」
- 「異常なし」
とされてしまうこともあります。
しかし実際には、筋肉や神経の異常によって説明できるケースも少なくありません。
骨盤底筋を丁寧に評価すると、
- 内閉鎖筋
- 肛門挙筋
- 尾骨筋
などに圧痛やトリガーポイントを認め、症状が再現されることがあります。
治療法は?
原因によって治療は異なりますが、重要なのは「痛みを出している筋肉や神経」を評価することです。
1.骨盤底リハビリテーション
まず重要なのは、緊張した骨盤底筋を緩めることです。
- 呼吸訓練
- ストレッチ
- 筋膜リリース
- 内診によるトリガーポイント治療
などを行います。
「鍛える」より、「緩める」ことが必要なケースも非常に多いです。
2.高テスラ磁気刺激療法(HIMS)
骨盤底筋の過緊張や協調性異常に対して、磁気刺激で筋機能を調整します。
痛みの軽減や血流改善を期待します。
(スターフォーマー®︎の痛みのモードを使用します。)
3.体外衝撃波治療(ESWT)
筋膜性疼痛やトリガーポイントに対して有効な場合があります。
慢性前立腺炎様症状や会陰部痛、性交痛などで使用されることがあります。
疼痛治療の一つとして、足底筋膜炎やスポーツ外傷など幅広く使用されています。
(Storz社のDuolith®︎)
4.GSM治療(女性)
閉経後女性では、GSMによる粘膜萎縮や神経過敏が痛みを増幅している場合があります。
- ホルモン療法
- レーザー治療
- 保湿治療
などが有効なケースがあります。
(インティマレーザー®︎)
5.薬物療法
必要に応じて、
- 神経障害性疼痛治療薬
- 筋弛緩薬
- 抗炎症薬
- 抗うつ剤
などを併用します。
最後に
射精時痛やオーガズム時痛は、「我慢するしかない症状」ではありません。
骨盤底筋や神経の異常という視点からみることで、改善への道が見えてくることがあります。
「性」の問題は生活の質(QOL)に大きく関わります。
誰にも相談できず悩んでいる方に、
「原因が分かるかもしれない」
「治療できる可能性がある」
ということを知っていただければと思います。
日本橋骨盤底診療所




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