赤ちゃんの頃は誰もが当たり前のようにオムツで排泄していました。
でも、大人になってから突然「オムツの中で排尿してください」と言われたら、意外と難しいものです。
先日、骨盤臓器脱手術を受けられた患者さんとのやり取りで、そのことを改めて実感しました。
当院では骨盤臓器脱の手術後、尿道カテーテルを留置せず、術後3時間まではベッド上安静としていることがあります。
その間に尿意を感じた場合は、ベッド上でオムツ内に排尿していただくことになります。
医療者側からすると、
「オムツで排尿すればいい」
「心配ならカテーテルを入れておけばいい」
と簡単に考えてしまいがちです。
しかし患者さんにとっては大きな問題です。
今回の患者さんは、
「実はすごく心配だったんです。でも今回は上手くできました!」
と笑顔で話してくださいました。
最初は力が入ってしまい尿が出せず、お腹が張って苦しくなったそうです。
ところが、術前から行っていた骨盤底リハビリテーションで学んだ『力を抜くコツ』を思い出し、骨盤底筋をリラックスさせることで自然に排尿できたとのことでした。
さらに、
「以前、骨折の手術を受けた時はオムツで排尿できなくて、何度も導尿してもらいました」
とも話してくださいました。
私たちは普段、排尿を当たり前のように行っています。
しかし実際には、
- 適切なタイミングで骨盤底筋を緩める
- 尿道括約筋をリラックスさせる
- 腹圧をかけ過ぎない
といった複雑な協調運動が必要です。
排尿障害や頻尿、尿閉の背景には、この「力を抜くことが苦手」という問題が隠れていることも少なくありません。
骨盤底リハビリテーションというと、
「尿もれを改善するための訓練」
「骨盤底を強化する」
と思われがちですが、実はそれだけではありません。
締めることと同じくらい、上手に緩めることを学ぶ治療でもあります。
今回の患者さんのように、術後のベッド上排尿という思いがけない場面で、その技術が役立つこともあります。
「たかが排尿、されど排尿」
普段何気なく行っている排尿は、実はとても高度な身体機能です。
患者さんの笑顔を見ながら、骨盤底の正しい使い方を伝えることの大切さを改めて感じた嬉しい訪床となりました。




コメントを残す