「日帰り手術を受けたいです。」
3か月前、50代の女性が受診されました。
出産後から尿漏れはあったものの、「出産したらこんなもの」と思い、そのまま何年も過ごしてきたそうです。
子育ても一段落し、趣味のスポーツを再開したところ、尿漏れが急激に気になるようになり、運動中は数時間で40gパッドがいっぱいになるほど。
競技に集中できず、思い切り楽しめないことが一番の悩みでした。
ご自身でもYouTubeなどで骨盤底筋体操を熱心に勉強し、毎日続けていたそうですが、改善は感じられず、「もう手術しかない」と考え、当院を受診されました。
詳しく評価すると、
- 腟健康指数(VHI)12点
- オックスフォードスケール 0点
- 経会陰エコーでは、骨盤底筋を締めようとしても締められず、逆に押し出してしまう状態
つまり、筋力が弱いだけではなく、骨盤底筋機能障害(協調不全)でした。
さらに、閉経に伴うGSM(閉経関連尿路性器症候群)も認められました。
そこで当院のコンセプト発動!
「手術をする・しないに関わらず、できてない事、悪いところを治すチャレンジしましょう。手術をしても悪いところが残ったままだと再発の危険もあります」
とお話しし、
- 局所ホルモン療法
- 骨盤底リハビリテーション
を開始することになりました。
手術は必要かもと半分は予想はしていました。
そして3ヶ月後、本日の再診。
患者さんの第一声は、
「先生、手術はいらないかもしれません。」
スポーツ中の尿漏れは明らかに減り、生活の質が改善していました。
診察すると、オックスフォードスケールは0点から1点へ。
「たった1点?」
と思われるかもしれません。
しかし、この0点と1点の差は非常に大きいのです。
今回の0点は、単に筋力がない0点ではありません。
締めようとしても逆に押し出してしまう、いわば”マイナス”とも言える状態でした。
そこから、「少しでも正しく収縮できる」1点になったことは、骨盤底筋の使い方そのものが変わり始めた証拠です。
骨盤底は「筋肉が強いか弱いか」だけではありません。
正しいタイミングで、正しい方向に働くことがとても重要です。
尿漏れがあると、「すぐ手術」と考える方も少なくありません。
もちろん手術が最も適した方もいらっしゃいます。
しかし、骨盤底筋機能障害やGSMが原因の一部となっている方では、まず土台を整えることで症状が大きく改善し、手術が不要になったり、手術をしてもより良い結果につながったりすることがあります。
「本当に今、手術が必要なのか。」
その判断をするためにも、まず原因を見極めることが何より大切だと改めて感じた一日でした。
日本橋骨盤底診療所




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