「検査では異常ありません。」
実は肛門痛。陰部痛で受診された方が、何軒もの病院でそう言われてしまうことがあります。
もちろん、まず確認しなければならないのは、
がんや感染症、皮膚疾患などの重大な病気です。
しかし、それらが見つからなかった時、
診断が止まってしまうことが少なくありません。
陰部の痛みを感じる神経の多くは陰部神経が担っています。
陰部神経は!
- 亀頭・陰核
- 陰嚢・大陰唇
- 会陰・腟
- 肛門
などの感覚を脳へ伝える、とても大切な神経です。
ところが、この神経が支配する臓器は、
- 泌尿器科
- 婦人科
- 大腸肛門科
と診療科が分かれています。
それぞれの専門医は臓器のスペシャリストですが、骨盤底全体を一つの機能として診る機会は決して多くありません。
さらに、骨盤底の筋肉は身体の奥深くにあるため、肩や腰の筋肉のように触って診察する経験が少なく、評価方法も十分に普及していません。
そのため、
「異常はありません」
という結論になってしまうことがあります。
でも、本当に何も起きていないのでしょうか。
例えば、肩こり。
肩の筋肉が硬くなるだけで、
- 頭痛
- 目の奥の重さ
- 吐き気
まで起こることがあります。
また、梨状筋症候群では、お尻の筋肉が坐骨神経を刺激し、
- お尻の痛み
- 太ももやふくらはぎへの放散痛
- しびれ
が起こります。
これと同じことが骨盤底でも起こります。
例えば、内閉鎖筋という骨盤底の筋肉。
この筋肉の近くを陰部神経が走っています。
筋肉が硬くなったり、トリガーポイントができたりすると、
陰部神経が刺激され、
- 肛門が痛い
- 陰核が痛い
- 亀頭が痛い
- 会陰がヒリヒリする
といった症状として感じることがあります。
つまり、
痛い場所が悪いとは限らない。
痛みを伝える神経が刺激されているだけなのです。
起こっている現象は、とてもシンプルです。
腕や肩の筋肉に起こることが、骨盤底の筋肉にも起こっている。
ただ、それだけなのです。
だからこそ
「骨盤底」というブラックボックスを少しでも分かりやすく伝えたい。
そう思いながら日々診療しています。
「何年も原因が分からない。」
「何軒も病院を回った。」
そんな方が、原因を理解し、「だから痛かったんだ」と安心される瞬間があります。
その瞬間のために、これからも骨盤底医療を伝え続けたいと思います。
日本橋骨盤底診療所




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