なぜ病院によって治療の説明が違うの?

骨盤底機能障害のお話


「体操してください」しか言われなかった、あるケース


先日、30代の女性が当院を受診されました。
大きな病院で「骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)grade2」と診断され、「手術は必要ありません。骨盤底筋体操をしてください」とだけ言われたそうです。


骨盤臓器脱とは、子宮や膀胱、直腸などを支えている骨盤の底の支持組織や筋肉(骨盤底筋)が緩んで、臓器が下がってくる状態のことです。grade2は、その中でも軽度〜中等度にあたります。


体操の指導自体は間違っていません。でも、この方はこう感じていました。
「もう少し、何かできることがあるのではないか」
その思いを抱えたまま、当院を受診してくださいました。


実際に診察してわかったこと
当院で骨盤底筋の状態を詳しく評価したところ、次のことがわかりました。
• 骨盤底筋を締める(挙上する)動作自体はできる
• しかし、弱い力で挙上し長時間キープすることができない


これは「骨盤底機能障害」と呼ばれる状態です。

筋肉が完全に働かないわけではなく、“持続的に働かせる力”が不足している、という繊細な問題です。
この違いは、自分で体操しているだけではなかなか気づけません。専門的な評価があって初めて見えてくるものです。


骨盤底機能障害の治療は「リハビリテーション」が基本
ここが今日、一番お伝えしたいことです。


骨盤底機能障害の治療は、薬でもレーザーでもなく、骨盤底リハビリテーションが基本になります。


理学療法士などの専門家が、一人ひとりの筋肉の状態(締める力、持続する力、タイミングなど)を評価し、それに合わせた個別のトレーニングを行う、いわば「専門的な運動指導」です。自己流の体操とは異なり、状態に応じて方法を調整しながら進めていきます。


理由は、医療者の知識不足ではありません。日本の医療保険制度上、骨盤底リハビリテーションが保険診療の対象になっていないためです。もちろん保険適応がないと知識もついてこない事もあります。
では、なぜ大きな病院では「体操してください」で終わってしまうのか


保険診療を中心とする大きな病院では、保険の枠内でできる範囲の指導、つまり「ご自身で行う体操の指導」までにとどまりやすいのが実情です。専門的なリハビリを継続的に提供する体制自体が、保険制度の中には組み込まれていないのです。

当院が大切にしていること
当院、日本橋骨盤底診療所では、女性医療が進んでいる国々で標準的に行われている骨盤底リハビリテーションを、日本の患者さんにも届けたいと考えています。
そのため、保険診療の範囲を超える自費診療という形にはなりますが、専門的なリハビリテーションをご提供、またはご紹介できる体制を整えています。


「治療の選択肢がない」ことと、「選択肢を紹介できる」ことの間には、大きな違いがあります。
費用がかかるという点は正直にお伝えしなければなりませんが、それでも「専門的に評価してもらえる場所がある」と知っているだけで、次の一歩を踏み出しやすくなる方もいらっしゃると思います。

おわりに

骨盤底の悩みは、なかなか人に相談しづらいテーマです。だからこそ、「体操してください」の一言で終わらず、ご自身の状態をきちんと評価してもらえる機会が、もっと広がってほしいと願っています。
骨盤底機能障害でお悩みの方は、一人で抱え込まず、専門的な評価を受けてみることをおすすめします。

日本橋骨盤底診療所

https://npfclinic.jp

監修

日本橋骨盤底診療所 理事長 安倍 弘和


Nihonbashi Pelvic Floor Clinic

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