―「ピンピンコロリでいくから」その前に考えてほしいこと―
膀胱がんの治療が終わった患者さんから、
「再発を防ぐために、自分でできることはありますか?」
と聞かれることがあります。
そのとき、まずお伝えしたいことの一つが禁煙です。
喫煙は膀胱がんの重要な危険因子として知られています。そして膀胱がんになった後も、タバコを吸い続けることは決して無関係ではありません。
ところが外来では時々、
「先生、タバコだけはやめられないよ」
「その時が来たら、ピンピンコロリでいくから大丈夫」
と言われることがあります。
もちろん、人生の価値観は人それぞれです。
何を大切にして生きるかを、医療者が一方的に決めることはできません。
ただ、長年泌尿器科医として患者さんを診ていると、喫煙を続けた先にある現実は、必ずしも「ピンピンコロリ」ではないことも知っていただきたいと思います。
膀胱がんより先に立ちはだかる「肺気腫」「心筋梗塞」
長年喫煙を続けている方で問題になるのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺気腫そして心筋梗塞です。
膀胱がんが再発した場合、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)など、再び手術が必要になることがあります。
ところが、そのとき肺機能が大きく低下していると、
「がんは切除したい。しかし、全身麻酔をかけることが難しい」
「ステントのため血液サラサラを止められない」
という状況に直面することはしばしばです。
泌尿器科医としては、目の前に治療すべき腫瘍がある。
手術をすれば治療できる可能性がある。
それなのに、肺や心臓の状態によって治療の選択肢が狭くなってしまう。
これは非常にもどかしい状況です。
手術ができないと、出血を止められなくなることも
膀胱がんは、血尿を起こしやすい病気です。
腫瘍を切除できれば出血を抑えられることがありますが、手術が難しい場合には治療の選択肢が限られてきます。
出血が続くと、膀胱の中に血の塊である「凝血塊」がたまります。
その凝血塊によって尿道カテーテルが詰まってしまうこともしばしば。
- 尿が出したいのに出せない
- 強い尿意が続くや下腹部痛で悶える
- カテーテルの洗浄を何度も行う
- カテーテルを入れ直す
- 血尿が落ち着いて退院しても、また出血して入院する
そんな状態を繰り返すことがあります。
決して楽な経過ではありません。
そして、これは泌尿器科医であれば何度も経験する光景だと思います。
「自分なら、そんな最期は過ごしたくない」
出血して、カテーテルが詰まり、洗浄して、また出血する。
尿意や痛みに悩まされながら入退院を繰り返す。
そうした患者さんを診ていると、正直なところ、
「自分なら、そんな最期は過ごしたくない」
と思います。
ただ、本当に自分がその立場になったとき、何を選択するのかはわかりません。
だからこそ、
「タバコを吸うのは間違っている」
「絶対にやめるべきだ」
と、医療者の価値観を患者さんに押し付けることも違うと思っています。
最終的にどう生きるのかを決めるのは、患者さん自身です。
禁煙は「寿命を延ばすため」だけではありません
禁煙を勧める理由には
禁煙は、単に寿命を延ばすためだけではないからです。
将来、必要になった治療を受けられる身体を保つこと。
治療の選択肢をできるだけ多く残しておくこと。
そして、
できるだけ苦痛の少ない人生を送れる可能性を高めておくこと。
これも禁煙の大切な意味だと思っています。
「ピンピンコロリでいくから、タバコはやめないよ」
そう言われるお気持ちもわかります。
ただ、タバコが奪ってしまう可能性があるのは、寿命だけではありません。
将来の「治療できる可能性」まで奪ってしまうことがあります。
それでも喫煙を続けることを選択されるのであれば、その患者さんの価値観を尊重しながら診療を続けます。
患者さんが選んだ道を支え、その時々でできる最善の医療を提供する。
それが私たち医療者の役割なのだと思います。
膀胱がん再発予防で最も大切なこと
―「ピンピンコロリでいくから」その前に考えてほしいこと―
膀胱がんの治療が終わった患者さんから、
「再発を防ぐために、自分でできることはありますか?」
と聞かれることがあります。
そのとき、まずお伝えしたいことの一つが禁煙です。
喫煙は膀胱がんの重要な危険因子として知られています。そして膀胱がんになった後も、タバコを吸い続けることは決して無関係ではありません。
ところが外来では時々、
「先生、タバコだけはやめられないよ」
「その時が来たら、ピンピンコロリでいくから大丈夫」
と言われることがあります。
もちろん、人生の価値観は人それぞれです。
何を大切にして生きるかを、医療者が一方的に決めることはできません。
ただ、長年泌尿器科医として患者さんを診ていると、喫煙を続けた先にある現実は、必ずしも「ピンピンコロリ」ではないことも知っていただきたいと思います。
膀胱がんより先に立ちはだかる「肺気腫」「心筋梗塞」
長年喫煙を続けている方で問題になるのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺気腫そして心筋梗塞です。
膀胱がんが再発した場合、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)など、再び手術が必要になることがあります。
ところが、そのとき肺機能が大きく低下していると、
「がんは切除したい。しかし、全身麻酔をかけることが難しい」
「ステントのため血液サラサラを止められない」
という状況に直面することはしばしばです。
泌尿器科医としては、目の前に治療すべき腫瘍がある。
手術をすれば治療できる可能性がある。
それなのに、肺や心臓の状態によって治療の選択肢が狭くなってしまう。
これは非常にもどかしい状況です。
手術ができないと、出血を止められなくなることも
膀胱がんは、血尿を起こしやすい病気です。
腫瘍を切除できれば出血を抑えられることがありますが、手術が難しい場合には治療の選択肢が限られてきます。
出血が続くと、膀胱の中に血の塊である「凝血塊」がたまります。
その凝血塊によって尿道カテーテルが詰まってしまうこともしばしば。
- 尿が出したいのに出せない
- 強い尿意が続くや下腹部痛で悶える
- カテーテルの洗浄を何度も行う
- カテーテルを入れ直す
- 血尿が落ち着いて退院しても、また出血して入院する
そんな状態を繰り返すことがあります。
決して楽な経過ではありません。
そして、これは泌尿器科医であれば何度も経験する光景だと思います。
「自分なら、そんな最期は過ごしたくない」
出血して、カテーテルが詰まり、洗浄して、また出血する。
尿意や痛みに悩まされながら入退院を繰り返す。
そうした患者さんを診ていると、正直なところ、
「自分なら、そんな最期は過ごしたくない」
と思います。
ただ、本当に自分がその立場になったとき、何を選択するのかはわかりません。
だからこそ、
「タバコを吸うのは間違っている」
「絶対にやめるべきだ」
と、医療者の価値観を患者さんに押し付けることも違うと思っています。
最終的にどう生きるのかを決めるのは、患者さん自身です。
禁煙は「寿命を延ばすため」だけではありません
禁煙を勧める理由には
禁煙は、単に寿命を延ばすためだけではないからです。
将来、必要になった治療を受けられる身体を保つこと。
治療の選択肢をできるだけ多く残しておくこと。
そして、
できるだけ苦痛の少ない人生を送れる可能性を高めておくこと。
これも禁煙の大切な意味だと思っています。
「ピンピンコロリでいくから、タバコはやめないよ」
そう言われるお気持ちもわかります。
ただ、タバコが奪ってしまう可能性があるのは、寿命だけではありません。
将来の「治療できる可能性」まで奪ってしまうことがあります。
それでも喫煙を続けることを選択されるのであれば、その患者さんの価値観を尊重しながら診療を続けます。
患者さんが選んだ道を支え、その時々でできる最善の医療を提供する。
それが私たち医療者の役割なのだと思います。
日本橋骨盤底診療所




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