20代でも繰り返す膀胱炎

「20代なのに、何度も膀胱炎になります」

今回受診されたのは、数年前から膀胱炎を繰り返している若い女性です。

症状が軽いときは自力でなんとか乗り切り、どうしても治らないときには病院を受診して抗菌薬による治療を受けてこられました。

一般的に、半年に2回以上、または1年に3回以上膀胱炎を繰り返す場合は「反復性尿路感染」と考え、単にその都度抗菌薬を飲むだけではなく、

「なぜ繰り返すのか?」

を考えることが大切です。

若い方だからといって、すべてが「よくある膀胱炎」とは限りません。

症状や経過によっては、尿道周囲の病変や結石、腫瘍などが隠れていないか、膀胱鏡や経会陰エコーなどを用いて確認していきます。

膀胱だけではなく腟前庭や尿道周囲の粘膜の所見が大事!

今回、腟前庭部のpHは4.5。

「では、粘膜には問題ない?」

と思うかもしれません。

ところが、潤いも少なく、スワブテストでは痛みを認めました。

さらに膀胱鏡で膀胱内に腫瘍などは認めませんでしたが、尿道を観察すると非常に特徴的な所見がありました。

カメラで尿道が痛い。

        (普通はほとんど痛みがありません!)
そして尿道粘膜が薄く、血管が透けるように目立っていました。

尿道の粘膜は、単なる「尿の通り道の壁」ではありません。

粘膜やその周囲の環境は、潤いを保ち、外部から細菌などが侵入するのを防ぐバリアの一部でもあります。

つまり今回のポイントは、

「腟pHが正常だから、尿道・腟前庭の粘膜も健康とは限らない」

ということです。

スワブテストと尿道の内視鏡所見を合わせることで、この方が繰り返してきた症状の背景が少しずつ見えてきました。

なぜ若い方にこのような粘膜変化が起こったのでしょうか。

この方には、一定期間ピルを服用していたという背景がありました。経口避妊薬と腟前庭部の粘膜感受性との関連についてはいくつか報告がありますが、まだ「ピルが原因」と断定できるものではありません。

また、子どもの頃から膀胱炎になりやすかったことや、「目が乾きやすい」というお話もありました。

もともとの粘膜の性質など、いくつもの要因が重なっている可能性があります。

今回はまず、局所ホルモン療法によって粘膜環境の改善を図ることにしました。

その経過をみながら、必要であれば尿道粘膜に対するレーザー治療なども検討していきます。

若いから粘膜は大丈夫。
pHが正常だから大丈夫。

そうとは限りません。

反復性膀胱炎を診るときには、細菌を治療するだけではなく、

「なぜ、この方は膀胱炎を繰り返すのか?」

その背景を一人ひとり探していくことが大切だと思います。

日本橋骨盤底診療所

https://npfclinic.jp

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